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機能が低下した腎臓の代わりに器械で行うことが人工透析です。しかし、腎臓のすべての機能を補うことはできません。そのため人工透析を受けることで、さまざま不快な症状と合併症を引き起こしてしまいます。
まず、透析治療開始後すぐに表れる不快な症状として「不均衡症候群」と「血圧の変動」があります。さらに、透析治療を長く続けているために生じる合併症には、「心臓の機能の低下」「動脈硬化」などがあります。合併症について理解し、対策を行うことでリスクを引き下げることができます。
透析開始初期で体が透析に慣れていないことにより起こります。
透析を行うことで血液中の水分と老廃物は急激に除去されます。ですが、脳細胞などの老廃物が除去されにくく、血管内と脳細胞の老廃物の濃度差が出てしまいます。濃度が濃ゆくなった細胞内に水分で薄める働きが出て、脳細胞などがむくんでしまいます。このように細胞がむくむことによりおこる頭痛・吐き気・倦怠感・手足の痙攣などの症状を不均衡症候群といいます。
透析による老廃物が多くたまらないように食事に気をつけることで予防することができます。また、透析時間の延長・回数を増やすことで不均衡症候群を抑えられることができます。
透析回数を重ねることで、不均等症候群は起こりにくくなります。
高血圧は透析開始したころに見られます。透析治療での水分除去が十分に出来ず血液量が増えます。また、逆に水分除去が多くなることで、血液量が減り血圧低下を起こすことがあります。余分な水分がたまらないように水分と塩分の制限を守る必要があります。
腎臓でつくられる造血ホルモンが十分に分泌できなくなり貧血が起こります。疲労感や動悸・息切れ・めまい・食欲不振など多くの症状が現れます。それを薬物療法で改善していきます。
透析の患者さんは、尿が出ないため水分や塩分が体に溜まりやすくなります。溜まった水分を体中に循環させることは、心臓にとって大きな負担となります。また透析中の患者さんに合併しやすい貧血も心臓に負担をかけます。このように心臓の機能が低下するとむくみ・息切れ・呼吸困難症状が表れ心不全に至ります。「適正な透析を行う」「血液量が増えないように塩分と水分の制限を行う」「降圧剤を使用して血圧をコントロールする」ことで、心機能低下を予防してくれます。
動脈硬化は、動脈の内側にコレステロールやカルシウムが沈着することにより血管の内側が細くなり血液の流れが悪くなることです。動脈硬化の危険因子に高血圧・喫煙・高脂血症が挙げられます。透析患者さんは、これに加えて、尿毒素の貯留・カルシウムとリンの蓄積による血管の石灰化・血液など体液の増加が、動脈硬化に影響しているとされています。
動脈硬化は、全身の血管で進行します。脳梗塞など脳血管障害・心筋梗塞・狭心症などの虚血性心疾患足の血管が閉塞してしまう閉塞性動脈硬化症など血管系の疾患を起こす可能性があります。血液量が増えないように塩分・水分の摂取制限・降圧剤使用による血圧のコントロール・食事や内服による悪玉コレステロール・中性脂肪の管理・リンとカルシウムの管理を行うこと予防することができます。
腎臓でつくられるビタミンDは、消化管より骨を造る成分であるカルシウムの吸収を助け丈夫な骨にしてくれます。ですが、腎臓の機能が低下している透析患者さんは、ビタミンDが低下し、カルシウムの吸収が悪くなり、血液中のカルシウムの濃度が低下します。またリンは、透析をしても排泄がうまくできず血液中のリンの値が通常よりも高くなります。
血液中のカルシウムとリンの濃度を調整する副甲状腺ホルモン。カルシウムとリンを正常な数値に戻そうとして、副甲状腺ホルモンが過剰に出てしまいます。その結果、骨からのカルシウムが溶け出し、骨折を引き起こします。 また、カルシウムとリンが骨ではない位置に沈着します。関節が石灰化することで手が動かしにくくなり、血管が石灰化すると、心筋梗塞・心臓弁膜症・脳梗塞を引き起こします。
お薬にて血液中のリンとカルシウムをコントロールします。お薬で抑えることができなくなれば症状和緩和する手術を行います。 予防として、リンを制限した食事療法と十分な透析を行います。
透析では十分に除去できなかった多くのβ2ミクログロブリン(血液中のタンパク成分)がアミロイドという物質を造ります。この物質は、骨や間接に沈着し痛みと運動制限を起こします。手の付け根のしびれや痛み・肩・膝の関節痛首腰の運動障害などの症状があります。痛みを和らげる薬物療法・理学療法があります。 高性能のダイアライザで十分な透析を行うことでアミロイド症の発症を遅らせることができます。
摂取したカリウムが十分除去できないことにより高カリウム血症となります。症状として、手足や口のしびれ・味覚・知覚異常などです。症状の重い場合は不整脈や心停止といった生命にかかわる状態になることもあります。予防するには、食事でのカリウムの摂取量の制限が必要です。
透析患者さんは、食事制限や透析により食事などから摂取した栄養素が流れ出すことで起こる栄養不良になることもあります。細菌やウイルスに対する免疫力が低下し、肺炎などの感染症にかかりやすくなります。十分な栄養と睡眠をとり抵抗力を向上させましょう。また手洗いとシャントを清潔に保つことを習慣化することが大切です。
透析導入により汗腺が委縮して汗が出なくなり、皮膚が乾燥しかゆみが生じます。カルシウム・リン副甲状腺ホルモンによるかゆみも生じます。乾燥した肌には保湿・軟膏の使用・内服薬の使用・などにてかゆみを抑えるようにしています。
このページの参考資料一覧
免疫低下や合併症など、透析治療にはさまざまな問題があります。
体調を維持しながら透析とうまく長く付き合っていくためには、腎臓や体になるべく負担をかけないことが重要です。そのために必要と考えられるのが酵素です。
酵素は消化・吸収・代謝・排泄など、人が生きていくために必要不可欠。酵素が不足すると体内の老廃物を排泄する機能も低下し、腎臓に負担がかかるだけでなく、免疫力の低下にもつながってしまいます。
腎臓に負担をかけないためには、体内の酵素を増やすこと。ここでは、酵素の働きや、科学的根拠について紹介していきます。